世界で最も高報酬の経営学修士(MBA)卒業生を輩出しているのは米国の経営大学院だ。報酬比較サイト、エモルメント・ドット・コムの調査が示した。
この調査によると、卒業生の報酬が高い経営大学院トップ20校のうち11校が米国の大学院だった。マサチューセッツ工科大学(MIT)のスローン経営大学院が1位で、ボーナスを含めた年収の中間値は28万6000ドル(約3000万円)だった。ハーバード大学とシカゴ大学の経営大学院が2位と3位。
欧州で最も高報酬のMBAを生み出すのはフランス・フォンテンブローにあるINSEADで報酬の中間値は18万5000ドル、全体では12位。スイスのザンクト・ガレン大学と英国のケンブリッジ大学ジャッジ校が13位と14位に入った。アジアからのトップ20校入りはなかった。
「卒業生の所得が高いMBAランキング」が発表され、トップ10を米国の経営大学が独占した。首位のマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営学大学院は、「トップ企業に就職したMBA卒業生ランキング」でも1位を獲得。卒業生の年間所得は30万ドル近く、20位のトロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネージメントの1.8倍に値する。
2位はハーバード・ビジネス・スクール、3位はシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスという結果となった。英国からは3校、フランス、スペイン、イタリア、スイス、カナダから各1校がランクインした。
しかし「卒業生の所得が高いMBA」と、「トップ企業が雇いたい、即戦力があると見なす卒業生が多いMBA」ではがらりと顔ぶれが変わる。
ランキングは給与比較サイト「Emolument.com」がMBA取得生1万人以上のデータに基づいて作成したもの(2018年3月発表 )。
卒業生の所得が高いMBAトップ20
20位 トロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネージメント(カナダ) 15.5万ドル
19位 ボッコーニ経営大学院(イタリア) 15.9万ドル
18位 オックスフォード大学サイード・ビジネススクール(英国) 16.8万ドル
17位 フォーダム大学ガベリ・スクール・オブ・ビジネス(米国) 17.1万ドル
16位 ロンドン・ビジネス・スクール(英国) 17.8万ドル
15位 IESEビジネス・スクール(スペイン) 17.9万ドル
14位 ケンブリッジ大学ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール(英国) 18.0万ドル
13位 ザンクトガレン大学(スイス) 18.1万ドル
11位 INSEAD(フランス) 18.5万ドル
11位 カリフォルニア大学ロサンゼルス校UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメント(米国) 18.5万ドル
10位 ロス・スクール・オブ・ビジネス(米国) 18.7万ドル
8位 デューク大学 フクア・スクール・オブ・ビジネス(米国) 18.9万ドル
8位 コーネル大学ジョンソン経営大学院(米国) 18.9万ドル
7位 ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(米国) 20.9万ドル
6位 ニューヨーク大学レナード・N・スターン・スクール(米国) 21.3万ドル
5位 コロンビア大学コロンビア・ビジネス・スクール(米国) 21.9万ドル
4位 ペンシルバニア大学ペンシルベニア大学ウォートン校(米国) 24.8万ドル
3位 シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス(米国) 25万ドル
2位 ハーバード・ビジネス・スクール(米国) 25.5万ドル
1位 マサチューセッツ工科大学スローン経営学大学院(米国) 28.6万ドル
4分の3は米経営大学、MBA分野の強さでは向かうところ敵なし?
20校中15校がランクインした米国。1〜11位までを独占し、MBA分野での圧倒的な強さを誇示する結果となった。1位に輝いたスローン経営学大学院は、マサチューセッツ工科大学の経営学部として1952年に発足。世界トップクラスの工科大学経営の学部だけに、経営学と技術の融合を意図する独創的なカリキュラムで知られる。
2位のハーバード・ビジネス・スクールも数々のビジネス・スクール・ランキングの上位常連校だ。世界中から優秀な頭脳が集まる伝統的な名門校のひとつである。それだけにMBA費用も年間の受講料だけで7.3万ドル とトップクラスだ。
3位のシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの母体シカゴ大学は、「理論重視」という校風を掲げ、ミルトン・フリードマン氏やポール・サミュエルソン氏など、多数のノーベル賞受賞学者や経済学者を輩出している。
高所得とトップ企業による評価は比例しない?
気になるのは卒業後の就職率だ。いくら高所得が狙えても、一部の卒業生しか恩恵を授かれないというのでは、MBA取得の魅力が半減する。
そこでビジネス情報誌「CEOWORLD」が2018年1月18日に発表した「トップ企業が雇いたいMBA卒業生ランキング 」と比較してみると、スローン経営学大学院はここでも1位だが、11位のINSEADが2位、16位のロンドン・ビジネス・スクールが4位、2位のハーバード・ビジネス・スクールが5位など、かなり順位が変わって来る。
このランキングはMBA卒業生6万人、人材採用担当者2.5万人、従業員数1000人以上の企業の雇用者4万人から回収したアンケート結果に基づいて作成したものだ。企業が即戦力あると見なすMBA卒業生の多い経営大学を順位付けしている。
他にトップ企業での就職率が高いMBA校は、コロンビア・ビジネス・スクール(9位)、レナード・N・スターン・スクール(10位)、ケロッグ経営大学院(13位)、IESEビジネス・スクール(15位)、ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール(18位)、フクア・スクール・オブ・ビジネス(26位)、UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメント(27位)がトップ30入りした。
高所得を狙うか、トップ企業への就職を狙うか—MBAを選ぶ際にはじっくりと検討する必要がありそうだ。
企業からの評価を重視すると、中国・香港・インドなどアジアも狙い目?
これらのランキングでは卒業してからの期間や就労分野、年齢、性別、地域など、分析したデータの詳細が記載されていない点が残念だ。いずれにせよ高所得やトップ企業への就職を希望するのであれば、米国でのMBA取得が確実ということだろうか。
しかし高所得と言っても1位と20位では1.8倍の差がある上、雇用者からの評価もそれぞれ異なる。評価の高さに焦点を置くと、フランスのINSEADやHEC経営大学院、スペインのIE ビジネススクール、IESE、ESADE、中国の中欧国際工商学院、香港の商学院、香港中文大学、インドのインディアン・インスティテュート・オブ・マネージメント・アフマダーバードもトップ30に入っている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
「卒業生の所得が高いMBAランキング」が発表され、トップ10を米国の経営大学が独占した。首位のマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営学大学院は、「トップ企業に就職したMBA卒業生ランキング」でも1位を獲得。卒業生の年間所得は30万ドル近く、20位のトロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネージメントの1.8倍に値する。
2位はハーバード・ビジネス・スクール、3位はシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスという結果となった。英国からは3校、フランス、スペイン、イタリア、スイス、カナダから各1校がランクインした。
しかし「卒業生の所得が高いMBA」と、「トップ企業が雇いたい、即戦力があると見なす卒業生が多いMBA」ではがらりと顔ぶれが変わる。
ランキングは給与比較サイト「Emolument.com」がMBA取得生1万人以上のデータに基づいて作成したもの(2018年3月発表 )。
卒業生の所得が高いMBAトップ20
20位 トロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネージメント(カナダ) 15.5万ドル
19位 ボッコーニ経営大学院(イタリア) 15.9万ドル
18位 オックスフォード大学サイード・ビジネススクール(英国) 16.8万ドル
17位 フォーダム大学ガベリ・スクール・オブ・ビジネス(米国) 17.1万ドル
16位 ロンドン・ビジネス・スクール(英国) 17.8万ドル
15位 IESEビジネス・スクール(スペイン) 17.9万ドル
14位 ケンブリッジ大学ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール(英国) 18.0万ドル
13位 ザンクトガレン大学(スイス) 18.1万ドル
11位 INSEAD(フランス) 18.5万ドル
11位 カリフォルニア大学ロサンゼルス校UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメント(米国) 18.5万ドル
10位 ロス・スクール・オブ・ビジネス(米国) 18.7万ドル
8位 デューク大学 フクア・スクール・オブ・ビジネス(米国) 18.9万ドル
8位 コーネル大学ジョンソン経営大学院(米国) 18.9万ドル
7位 ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(米国) 20.9万ドル
6位 ニューヨーク大学レナード・N・スターン・スクール(米国) 21.3万ドル
5位 コロンビア大学コロンビア・ビジネス・スクール(米国) 21.9万ドル
4位 ペンシルバニア大学ペンシルベニア大学ウォートン校(米国) 24.8万ドル
3位 シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス(米国) 25万ドル
2位 ハーバード・ビジネス・スクール(米国) 25.5万ドル
1位 マサチューセッツ工科大学スローン経営学大学院(米国) 28.6万ドル
4分の3は米経営大学、MBA分野の強さでは向かうところ敵なし?
20校中15校がランクインした米国。1〜11位までを独占し、MBA分野での圧倒的な強さを誇示する結果となった。1位に輝いたスローン経営学大学院は、マサチューセッツ工科大学の経営学部として1952年に発足。世界トップクラスの工科大学経営の学部だけに、経営学と技術の融合を意図する独創的なカリキュラムで知られる。
2位のハーバード・ビジネス・スクールも数々のビジネス・スクール・ランキングの上位常連校だ。世界中から優秀な頭脳が集まる伝統的な名門校のひとつである。それだけにMBA費用も年間の受講料だけで7.3万ドル とトップクラスだ。
3位のシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの母体シカゴ大学は、「理論重視」という校風を掲げ、ミルトン・フリードマン氏やポール・サミュエルソン氏など、多数のノーベル賞受賞学者や経済学者を輩出している。
高所得とトップ企業による評価は比例しない?
気になるのは卒業後の就職率だ。いくら高所得が狙えても、一部の卒業生しか恩恵を授かれないというのでは、MBA取得の魅力が半減する。
そこでビジネス情報誌「CEOWORLD」が2018年1月18日に発表した「トップ企業が雇いたいMBA卒業生ランキング 」と比較してみると、スローン経営学大学院はここでも1位だが、11位のINSEADが2位、16位のロンドン・ビジネス・スクールが4位、2位のハーバード・ビジネス・スクールが5位など、かなり順位が変わって来る。
このランキングはMBA卒業生6万人、人材採用担当者2.5万人、従業員数1000人以上の企業の雇用者4万人から回収したアンケート結果に基づいて作成したものだ。企業が即戦力あると見なすMBA卒業生の多い経営大学を順位付けしている。
他にトップ企業での就職率が高いMBA校は、コロンビア・ビジネス・スクール(9位)、レナード・N・スターン・スクール(10位)、ケロッグ経営大学院(13位)、IESEビジネス・スクール(15位)、ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール(18位)、フクア・スクール・オブ・ビジネス(26位)、UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメント(27位)がトップ30入りした。
高所得を狙うか、トップ企業への就職を狙うか—MBAを選ぶ際にはじっくりと検討する必要がありそうだ。
企業からの評価を重視すると、中国・香港・インドなどアジアも狙い目?
これらのランキングでは卒業してからの期間や就労分野、年齢、性別、地域など、分析したデータの詳細が記載されていない点が残念だ。いずれにせよ高所得やトップ企業への就職を希望するのであれば、米国でのMBA取得が確実ということだろうか。
しかし高所得と言っても1位と20位では1.8倍の差がある上、雇用者からの評価もそれぞれ異なる。評価の高さに焦点を置くと、フランスのINSEADやHEC経営大学院、スペインのIE ビジネススクール、IESE、ESADE、中国の中欧国際工商学院、香港の商学院、香港中文大学、インドのインディアン・インスティテュート・オブ・マネージメント・アフマダーバードもトップ30に入っている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
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